甘酸っぱくて美味しいフルーツ「いちご」は、どのような過程を経て赤く色付いていくのでしょうか。
様々なフルーツや野菜と同じように、実を付けるための受粉が必要となる訳ですが、大きく分けて自然・人工という2つの方法が挙げられます。
受粉がうまくいかないと、歪な形の実になってしまいますので、見た目が美しい「いちご」に仕上げるためには、適切な方法を取り入れなければなりません。
いちごの人工的な受粉の方法
まずは人工的な受粉については、いちごを家庭菜園で育てている場合に必要となる作業です。
ビルの高層階のベランダなどでは、花粉を媒介してくれる昆虫が少ないため、人の手で助けてあげなければなりません。
その方法はとても簡単であり、耳かきに付いているフワフワとした梵天のようなものや、綿棒や筆を用います。
花をよく観察してみると、中央の花床部分に、無数の雌しべが並んでいることに気付きます。
柱頭・花柱・子房・胚珠で構成されており、ここに花粉をまぶすのです。
少しぷっくりとした姿をしていますので、ここが実になるのだなと実感できることでしょう。
花粉を蓄えている雄しべは、中央の雌しべを囲むように並んでいます。
梵天や綿棒の先でチョンチョンと触れて、そのまま雌しべへと運ぶ感じ。
それほどハッキリ黄色い花粉が付かなくても、わずかな量でうまくいくことでしょう。
ただし、ここで花粉の付き方に偏りがあると、形がおかしい実となってしてしまうため、注意しなくてはなりません。
いちごの自然な受粉の方法
次に自然受粉においては、昆虫が大活躍します。
一般的に良く知られるミツバチやマルハナバチをはじめ、シマハナアブといったハチ以外の昆虫も訪れます。
花の蜜を集めにやってくるのですが、その際に花の上を歩き回ることで、自然と花粉を運んでくれます。
いちごを栽培している農家では、この作業を効率よくそして的確に進めるため、ミツバチを巣ごと購入して、花の周囲にハチを放つということもしています。
さすがに家庭菜園では、ミツバチの飼育をするというのは難しいので、人工的に行う必要が出てきます。
いちごの受粉の方法にハエも活躍
農林水産省が新たに発表した農業技術では、ヒロズキンバエをいちごの受粉に使用するという提案がなされています。
ハチ・アブだけでなく、ハエも活躍してくれるのです。
ミツバチの活動不足となる時期において、奇形な果実の発生を低減させることが可能とのこと。
ただし、ヒロズキンバエの羽化促進装置も用意せねばなりません。
このように、今後も新しい方法が開発されていくことでしょう。
いちごの受粉方法によって、甘く美味しいいちごが誕生しているのですね。